とりあえず、成田市に来てみた。
マンガ喫茶の中で、ごめんなさいと神様に謝った。
福島に向かうことを決め、スマホのマップで道のりを調べる。浅草から高速バスが出るようだ。明日、浅草に向かおうと思った。飛行機は僕の飛行機代だけを沖縄に輸送したのだ。今晩はもう力が出ない。
沖縄を出発して9日目。浅草にいる。
屋形船が浮かぶ川を見下ろしながらバスターミナルを目指して歩いている。
あずま橋のところに来た。スマホのマップによると、ここにバスターミナルがあることになっている。
それらしき建物が見えてきた。水上バスターミナルと書いてある。これは、屋形船のチケット売り場ではないでしょうか。あの、屋形船では福島まで行けないですよねとスマホに問いかける。
昨日から連絡を取り合っている姉に聞くと、新宿にバスターミナルがあると返事がきた。その時はまだ、チケットをネットで購入する考えがなかった。バスターミナルで買うのだと勝手に思い込んでいた。
あずま橋の近くで新宿へ向かう経路をスマホで調べる。見慣れた服装の人たちが橋の近くに集まって来ていることに気がついた。
エホバの証人だ。
エホバの証人の長老らしき人の周りに4、5人の男女が集まっている。
なるほど、エホバの証人に福音を語るために僕は浅草に来たのだ。声をかけるタイミングを測っていると、彼らが歩き出した。僕も後を追う。
交差点のところにくると、更に多くのエホバの証人たちがいた。カートに教団が発行する冊子をセットして小さな看板を掲げる女性や小グループで会話をしている人たち。
かつて、自分も彼らと共に街中のチャイムを鳴らしていた。誠実な心で、1人でも多くの人を滅びから救いたいと願っていた。マインドコントロールの影響下にあるなどと思いもしない。気がつかないからマインドコントロールなのだ。
浅草に来る前、僕はK兄弟と沖縄にいる元エホバの証人のH兄弟に、元エホバの証人の姉にイエスが神であると伝道するのに役立つ聖句等を教えてもらっていた。
今、兄弟たちのアドバイスが役立とうとしている。
意を決して、地下通路の入り口近くで固まっている3人組の男女に声をかけることにした。
エホバの証人の方々ですよねと声をかける。彼らの表情に警戒の色が浮かぶ。沖縄から来た者ですと自己紹介する。おぉー!と3人組のエホバの証人から声が上がった。3人のうち1人の青年が那覇からきた人だったからだ。彼らの警戒が緩くなったのを感じた。
自分が元エホバの証人だとは伝えない。彼らは自分たちから離れた者とは会話すらしてはいけないと教育されているからだ。
沖縄在住のクリスチャンで、新宿で開かれたクリスチャンの集会に参加した後だと話す。「みなさんにお伝えしたいことがあります」と切り出した。
福音を全力で語る。特に、那覇からきた青年に強く語った「良い行いによって救われるのではありません。もちろん良い行いも大切です。しかし、救いはイエス・キリストの名を信じることによって、彼が成し遂げてくださった事を信じる信仰によって私たちは救われるのです」
エホバの証人には救いの確信がない。良い行いをし続けないと、組織に従順であり続けないと救われないのだと思っている。
イエス・キリストの救いの恵みを、人力で獲得しようとしているのだ。
証人の1人が「あなたは何故私たちに語るのですか何がしたいのですか」と言ってきた。
「みなさんと同じです。1人でも多くの人を救いたいのです」と答えた。
イエス・キリストの愛と彼が神であることを伝え、お体ご自愛くださいと言葉をかけてその場を後にした。
「あなたもお元気で」と証人の1人が言った。
わたしは、ダビデの家とエルサレムの住民の上に、
恵みと嘆願の霊を注ぐ。
彼らは、自分たちが突き刺した者、
わたしを仰ぎ見て、
ひとり子を失って嘆くかのように、
その者のために嘆き、
長子を失って激しく泣くかのように、
その者のために激しく泣く。
ゼカリヤ12:10