擦り切れることはない

 K兄弟の家でカバンの中の洋服を整えながら、もう一着シャツを買おうかと考えていた時、「衣が擦り切れることはなかった」という言葉が頭に響いた。

 数分後、僕はK兄弟からいただいたTシャツを着ていた。兄弟はスマホの充電バッテリーも渡してくれた。

 旅人をもてなす兄弟の心に感動すると同時に、僕も彼のように与える人になりたい。成長したいと思った。

 12日間の旅で、スマホの充電は途切れることなく、衣服に困ることもなかった。

三浦半島へ

 昼過ぎ、駅まで送ってくれたK兄弟に見送られながら改札を抜けて、神奈川県三浦半島に向かう。

 クルセードの朝にリビングバイブルを渡した友人に会うために。

 三浦半島で彼と再会しいろんな話をした。彼はブラザーヒョクの動画を既に観てくれていた。

 聖書の話、イエス・キリストの話、福音を語った。K兄弟が通う教会のYouTubeチャンネルも共有することができた。

 一緒に食事をした後に横須賀まで車で送っていただき、共に祈ってから車を降りた。

 その後、僕は横須賀にしばらく滞在することになる。

アーメン

 朝、洗濯をする為コインランドリーへ向かう。

 交差点で信号を待っていると、1人のご婦人が話しかけてきた。病院の場所を教えてほしいという。彼女の手には包帯が巻かれていた。スマホで病院の場所を調べて道を教えたあと、怪我の癒やしのために祈ってよいか聞き、手を置き祈った。

 祈りの最後、ご婦人がアーメンと言った。もしかしたらクリスチャンだったのかもしれない。あるいは、かつてクリスチャンだった方だろうか。その辺りは詮索せずに歩を進めた。

 コインランドリーで洗濯機を回しながら、椅子に腰掛けてデボーションの時をもつ。「からだから痛みを取り去れ」という箇所が開かれた。その時はじめて、自分の身体が痛んでいることに気がついた。

 普段全く運動をしないのだ。革靴で長距離歩くことももちろんない。旅の興奮の中で身体の痛みにまで注意が向いていなかった。

彼女に福音を

 横須賀、今でも後悔していることがある。

 街を歩きながらラーメン店で接客している方に目がいった。彼女に福音を語るようにと神様に言われた気がしたが、その時、僕は沖縄料理が食べたくて沖縄料理店を目指して歩いていたので、そのラーメン店を素通りした。

 沖縄料理店に着くと店が閉まっていた。

 それで、先程のラーメン店に戻り店内に入って食事を注文した。タイミングを伺っていたが店内は混雑しており、結局、彼女に福音を語ることが出来なかった。

 神様が語られた時にすぐ動いていれば、彼女に福音を届ける幸いにあずかっていたのだと思う。

1万円

 公園でハトにエサをあげるホームレスのような男性を遠目に見かけた。彼と祝福を分かち合いたいと思い財布を確認したところ、一万円札は数枚あるものの千円札はない。

 ここで一万円をお渡しできるクリスチャンになりたいと願いつつも、僕は彼に近づくことなく公園を後にした。

 日が暮れたころ、路地の向こうから彼が歩いてきた。一度そばを通り越して行ったが、僕は彼の後を追うことにした。福音を伝えたい。それに、今の僕は千円札が財布の中にある。

 路地裏で自動販売機の釣り銭受けを確認して回る彼に声をかけた。

 最初は無視されていたが、彼の手に千円札を握らせると立ちどまり「ありがとうありがとう」と言いはじめた。

 手短に自己紹介し、イエスキリストを伝え、肩に手を置いて一緒にお祈りした。イエス・キリストに助けを求めてください。彼は今、生きています。必ずあなたの助けとなります。と語った。「はい、はい」と彼はうなずいている。

 その場を後にして歩きながら、僕の心は晴れなかった。イエス・キリストを伝え共に祈れたことは大変な喜びだった。だが、僕の財布には一万円札が残っているのだ。

 この一万円札を捧げてもなお神が必要の全てを供給してくださると頭ではわかっていた。が、行動に移せなかった。

 一万円札をホームレスの方に渡すのは賛否が分かれるのは知っている。今回はそこが問題ではない。神から受けた祝福を他人に流すことを惜しんだ自分の姿が悲しかった。

 自分の霊的な成長と経済の満たしを神様に願い求めた。神様はその祈りに必ずこたえてくださる。

身体の痛みを取り除く

 マンガ喫茶の個室。身体の痛みが強くなっている。デボーションを通して与えられた神様からのアドバイスに従うことにした。

 まる1日横になり、徹底して身体を休めた。翌日、痛みは完全に消え、以前よりも体力が充実している感じがした。

 日曜の午後に栃木の先輩と会う約束をした。先輩とあった後に乗る飛行機のチケットもとれた。

 日曜の晩遅くには沖縄に戻れそうだと、みくさんに連絡をいれた。

 やっと先輩に会える。短時間の予定ではあるが、神様から預かった言葉を確実に届けるのだ。

  あなたは彼らを養われました。
  彼らは荒野で何も不足することなく、
  上着はすり切れず、足も腫れませんでした。

ネヘミヤ9:21

powered by crayon(クレヨン)